次世代のスキルと人材育成

~STEAM教育が未来を切り拓く~

目次

  1. 今求められるスキルとは
  2. スキルを育む仕組み
  3. STEAM教育で目指せる職業
  4. 親、教育者の立場から見たSTEAM教育の重要性
  5. 世代別で学べるSTEAM教育例
  6. 教材
  7. まとめ

1. 今求められるスキルとは?

現代の社会は急速に変化しています。AIやデジタル技術の発展、地球規模の環境問題、多様化する働き方――これらに対応するために、次世代の人材に求められるスキルとは何でしょうか?
近年特に重要視されている以下のスキルを紹介します。

  • クリティカルシンキング [批判的思考]
    既存の情報やデータを見直し、客観的かつ論理的に分析・評価する思考方法
  • クリエイティブシンキング [創造的思考]
    既存の枠にとらわれない柔軟な発想力、革新的でユニークな発想で解決策を生み出す。
  • コラボレーションスキル [協動力]
    プロジェクトやタスクを完了させたり、アイデアやプロセスを生み出すために、多様な背景を持つ人々と協力する力


参考文献:経済産業省 未来人材ビジョン

2. STEAM教育がスキルを育む仕組み

STEAM教育は、実践的なプロジェクトや学際的なアプローチを通じて、上記のスキルを育てます。

プロジェクト型学習

[分析力]現状のデータや報告書を分析し、解決すべき優先課題を特定する。
[発想力]独自の方法で問題を解決するアイデアを提案する。
[協働力]チームで協力し、役割分担や意見交換を通じてプロジェクトを成功へと進める。

実験や創作活動

[分析力]実験データを収集し、それらを客観的に分析し結論を導く能力を鍛えたり、どのプロセスが目的達成に適しているかなどを論理的に考える力を養う。
[発想力]期待通りの結果が得られないときも、新しいアプローチを考える力が鍛えられる。既存の物にとらわれず、自分の考えをのびのびと表現する力を養うことができる。
[協働力]チームでの役割分担や他者の仮説に耳を傾けるなどの柔軟な協働力を育むことができる。また自分と他人のアイデアを調和させるスキルを養うことができる。

デザインシンキングの導入

[分析力]ユーザー視点に立って問題を観察し、相手のニーズや問題点の本質を正確に捕らえることができるようになる。
[発想力]既存の枠組みを超えて多種多様なアイデアを生み出すことができる。アイデアを具体的な形に試作することで新たな物を作り出すことができるようになる。
[協働力]多種多様なスキルを持った人が一緒に働く場で協力関係を築き、お互いの強みを生かすことができるようになる。

3. STEAM教育で目指せる職種

STEAM教育で培われるスキルは、次のような多岐の分野で活躍します:

IT・テクノロジー分野
 AI開発者、VR/ARクリエイター、プログラマー

クリエイティブ分野
 ゲームデザイナー、映像クリエイター、アートディレクター

環境・エネルギー分野
 サステナビリティコンサルタント、エネルギーエンジニア

教育分野
 教育テクノロジーの開発者や教育プログラムの企画者

4. 親、教育者の立場から見たSTEAM教育の重要性

親の視点

  • 子どもの柔軟な思考力問題解決能力、協働力等を育てグローバルな課題に対応できるよう子供のスキルを延ばし将来のキャリアの選択肢を広げてあげたい。
  • 子供の科学、技術面のスキルアップだけではなく、創造性も育むことができる。
  • 様々な分野にわたって学ぶことができるので子供の興味や得意なことを見つけ、伸ばしてあげることができる。

教育者の視点

  • 次世代のリーダーを育てる新しい教育モデルとしての可能性。
  • 科学、技術、芸術を融合したカリキュラムで、子供たちに学びの本質を伝えることができる。
  • 知識をつめ込むだけではなく、子供たちの感性や創造力を鍛えることができる。

子どものメリット

  • 学ぶことを楽しいと感じられる。
  • 好奇心興味を活かしつつ、将来に役立つスキルを学ぶことができる
  • STEAM教育を通しておなじ興味や趣味をもった友達をつくることができる

5. 世代別で学べるSTEAM教育例

幼児 
 レゴを用いた遊びから学べる教育や工作や実験などから学べるワークショップなど。

幼児期の教育は、「楽しい!」という感情が最も重要です。好奇心をくすぐり、成功体験を積むことで、後の本格的な学びへの興味を引き出します。特に幼児には、五感を使った実体験が学びを深める鍵となります。

小学生
 好奇心が旺盛な時期で、さまざまなことに挑戦し、探求心を育てることが大切です。理科の実験やアートを組み合わせたプロジェクトに取り組む中で、手を動かしながら学ぶ機会を増やします。例えば、グループで簡単なロボットを作り発表することで、チームワークを学びつつ、自分のアイデアを出したり意見を交換する力を養えます。

中学生
 より複雑なプロジェクトに挑戦し、自分の興味を掘り下げて探求する経験が重要です。例えば、プログラミングで動くロボットを作ったり、社会課題をテーマにグループで研究・発表を行うことで、問題解決力やプレゼンテーション能力を磨けます。また、失敗から学ぶ姿勢を身につけ、自ら計画を立てて進める力も養います。

高校
 個人またはグループでの高度なプロジェクトに取り組み、探究心をさらに発展させます。例えば、AIやデータ分析、持続可能な開発などをテーマにした研究や、企業や大学との連携によるインターンシップを通じて実践的な経験を積むことができます。また、プレゼンテーションやディスカッションを通じて、論理的な思考力やコミュニケーション能力を磨きます。

大学生
 専門分野を深めながら社会と結びつけて実践力を養います。研究やインターンシップを通じて、課題解決力や専門スキルを磨きます。例えば、興味のあるテーマで研究を行い、学会やプロジェクトで成果を発表することで、実社会で役立つ経験と自信を得られます。

6. 教材

注目される教材
  • LEGO Mindstorms EV3(LEGO Mindstormsシリーズ)
  • VEX Robotics コーディングだけでなく、エンジニアリングの基礎も学べる
            幼児から大学生まで対応 競技会も開催されている
  • MATRIX:STEAM教育を実践的に学べるロボットやプログラミング教材を展開
  • プログラミング教育用ソフトウェア:
    Scratch 世界最大の子どものための無料コーディングコミュニティー
    Tynker 子供向けのプログラミング学習プラットフォーム
    Code.org 小学生から高校生向けのプログラミング学習プラットフォーム。世界中の学校で導入されている実績あり。

7. まとめ

STEAM教育は、未来を生きる子どもたちに必要な創造力や問題解決力を育む学びの場です。単なる知識習得にとどまらず、実践的なスキルを身につけることで、変化の激しい社会に柔軟に対応できる人材を育成します。次世代を担う子どもたちの可能性を広げるため、STEAM教育を積極的に取り入れるのはいかがですか?